2020年も2月の下旬、春の兆しが見え始めたころ、筆者が所属する会社スキー部メンバーの一人が、メンバーのグループLINEにこう投げました。

「こういう時は「人の集まる所」に参加するのは社会人としてどうかと思いますので不参加でお願いします。」

アルペンスキー競技という「割と高尚な」スポーツの趣味を持つ仲間のSNSへの投稿としては、少々高圧的なコメントにも思えましたが、彼の発言は至極真っ当でもありました。

毎シーズンの恒例で、社会人競技スキーチーム(実業団ではありません)とそのメンバーが数多く集う”ガチ”競技イベントの開催をめぐり、今年ばかりはその議論が大いに揺れていたようです。日本が令和になって初めての世界的な感染症の蔓延で、世界各国が独自に対応策を打ち出すなかで日本はずいぶんと中途半端な政府としての指示を出し、もはや行政レベルではなく、事業者や地方自治体や団体というレベルで独自判断を迫られていたからです。

こうなると、企業体力の大きい…言うなれば、大きな組織を抱え内外に影響力の大きい企業や団体ほど慎重姿勢にならざるを得ず、よりセンシティブな問題と捉えるようになります。その傾向は如実に表れていました。あたりまえのことですが、動員される人の数や、準備期間の長さ、直前にキャンセルした場合の無駄になるヒトモノカネの大きさによって判断が分かれたのです。

これは、当該の競技スキー大会の運営主体の中にも現れていたようです。
日本アルペンスキー界における本丸とも言える「全日本スキー連盟」は早々に3月22日(3連休の最終日)までのあらゆる大会、イベントの中止を告知しましたが、それでも当該運営は決め切れていなかったようです。理由は簡単で、前述の通り、クラブチームや会社組織そのものの大小で意見が異なったからでした。また、大会を取りやめにした時の、毎年のように御世話になっているスキー場や宿泊施設への利益供与の問題もありました。大会規模を縮小したり、宿泊先を分散させたりと言った回避策は、例年のやり方からしてとても採り辛かったのだろうと思います。

もしここで「参加は会社(チーム毎)の判断に委ねる」となったらどうだったでしょうか?チームの中では個人の都合によって参加不参加を調整するだけの話ですが。

おそらく、不参加とするチームは居なかったのだろうと思います。だからこそ、大会中止という英断をせざるを得なかったのだと思いますが、世界を取り巻く状況を考えれば、答えは初めから見えていたと思います。

その直後「大会バーンを利用したレーシングキャンプ」の参加者募集が始りました。
よく言えば、突然の大会中止に悩む場所や宿への不利益を減らすための回避策であうが、悪く言えば、運営主体が大会をやめたという体裁をとりつつ、万が一に備えて逃げ道を作ったとも言えます。運営主体は参加チーム各社から代表を募り、開催の是非などを決める団体です。大会中止を大義名分としながら、そこに集まる参加者は大会参加予定者となるわけで、万が一のことがあれば、犯人探しが始まることは容易に想像がつきます。

かつてのアメフト悪質タックル問題ではないですが、問題が表沙汰になるまで誰しも異論を唱えないという、旧態依然な体育会系的体質、あるいは、そのような世界で過ごしてきた人たちの特質的な部分もあるかも知れません。イベントを行うにも止めるにも計り知れない準備や労力が必要なのもよく理解できますが、せめて非常事態レベルのこの時くらいは、正義を振りかざしてもいいような気がします。


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